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「麻の葉」第43号

2022/01/31 (Mon) 23:20
麻布教育研究所長通信「麻の葉」第43号

本年もよろしくお願いいたします。
お正月には、いろいろなスポーツで盛り上がったところもあるかと思い
ます。駅伝では、青山学院大学が再び強さを見せて優勝しました。
私のように駅伝に縁もゆかりもない者が論評するようなことではないの
ですが、近年の青学チームの活躍は、いろいろ励ましてもらうことがあり
まして。
みなさまご存じの通り、青学チームは、原晋監督の就任から大きく活躍
するようになったわけですが、原氏の指導モットーに「指示待ちではなく
自分の頭で考える」「自主、自律/自立」があることもわりとよく知られ
ているのではないでしょうか。
https://toyokeizai.net/articles/-/322903

学び育つ、教育という営みをずっと探究してきた私としては、スポーツ
の世界でもこういう思想が主流になってきたことを心強く思います。

じつは、ある県の中学校教員で、学びの授業づくりに定評のある方が
いらっしゃるのですが、この方は同時に陸上の指導者としても地元で
知られています。
その指導法が、ご本人曰く「授業と同じなんですよ」とのことでした。
選手が自分で考えて、「コーチ、自分は××が弱点なんですけど」と
言えば、「で、どうしたいの?」と返し、「○○という練習をやって
みます」「うん、やってみれば」となり、それでまたうまくいかないと、
「コーチ、うまくいかないんですけど」「じゃあ、何やってみる?」と
返すのだそうです。そうやって、選手たちはつねに、何のために何をする
のかを自分たちで考え、探究するのだそうです。

これまで、学びの授業づくりと、部活指導は関係ないものであるかの
ように語られることがあったかもしれません。でも私は、そのころから、
そんなわけはあるまいと考えてきました。
自分自身が大学の体育会の出身で、チームの主将を務めたときに、練習は
頭を使うものと信じ、実践してきました。その成果もあっての信念です。

構想力、創造力、実行力、様々な追究があってこそ、スポーツは楽しく
なるし、強くなります。それは学習と同じです。
原監督が、社会人時代は伝説の営業マンであったというのも、うなずける
気がします。(いまは他大学も自主自律のチームづくりをやっていると
思いますが、そのあたりの宣伝の上手さも監督の力量なのでしょう)

他のスポーツで言えば、イチロー選手や為末選手といった人々の活躍の
ころから、流れが変わってきたように思います。指導法、練習法は単一
ではなく、条件、環境と対話的に生成されるものであり、追究し続ける
ものへと、変わりつつあります。

そうしたわけで、私は、次のような記事をよく読んでいます。
https://diamond.jp/articles/-/218531
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/otherballgame/volleyball/2017/07/04/___split_14/

そしてバレーボールでは、いよいよ次のような流れが生まれてきました。
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/otherballgame/volleyball/2021/03/22/post_11/
https://diamond.jp/articles/-/237586
「絶対に怒ってはいけないバレーボール大会」
この大会のようすを動画で見たことがありますが、それはそれは新鮮なもの
でしたし、なによりも子どもたちの表情の明るさに、私はとても勇気づけられ
ました。
(なお、スポーツでなく吹奏楽では、こちらの本が好きです→https://amzn.to/3HlGRCk)

選ぶ、考える、表現するという探究のプロセスは、何かを実現したいと
願う人々(子どもも含めて)にとって普遍のものであろうと思います。
それを奪って、実現される結果だけを強要することは、どれほど不自然で
愚かなことでしょう。学習も部活も、その点に違いはありません。

話は変わりますが、
2022年4月から、民法改正により成年年齢が引き下げられます。
マルチ商法はじめ、悪いことを考える人々は、いまから手ぐすねひいて
待っているのだそうです。
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/seinen_18/index.html
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00218.html

子どもたちに思考のチャンスを与えずに、「大人の言うことを聞け」と
いう指導をしている人は、こういう悪事に荷担しているも同然なのかも
しれないことを、そろそろ認識する必要があるかもしれません。

村瀬公胤
一般社団法人麻布教育研究所 所長
murase@azabu-edu.net