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「麻の葉」第11号

2013/06/02 (Sun) 19:04
麻布教育研究所通信「麻の葉」第11号

 先日、私は夢の中で学力テストを受けていました(笑)。
文字通り、寝ても覚めても学力のことを考えているという
わけで、仕事熱心なことです(笑^2)。

 じっさいのところ、名護市で私は学力向上も業務の範囲内に
ありますが、それだけを求められているわけではありません。
むしろ、それを視野に含めながらも、広い意味で名護市の
子どもたちに質のよい教育を提供し、将来的には地域の発展に
つながることが期待されているのだと思います。様々な学力
テストは、その事業のための重要なインデックス(指標)と
なるので、無視するつもりもありませんし、それだけを過大視
するのでもない、というきわめて穏当な立場を私はとっており
ます。

 さてその夢の中で、私は、「ふむふむ、なかなかよい問題だな」
とうなずきながら解いておりました。問題の中身はもう記憶に
残っておりませんが、「活用型でいい問題だ」という記憶だけ
残っているのが、夢の面白いところです。

 じつは私、かつて受験産業の一端におりまして、模試の問題
など作っていました。地方の方にはあまり想像がつかないかも
しれませんが、中学入試のための模擬試験というのが首都圏
などではありまして、その作題をしていました。
 とくに苦心したのが、今風に言えば活用型とかPISA型という
試験問題、かつては思考力とか応用力とか呼ばれていた問題の
作成です。これを作成するには、何を持って思考力とするのか
ということを考えないといけませんし(外的妥当性・概念的
妥当性)、同時に、思考力がある子はいい点数がとれて、そうで
ない子は点数がとれないという条件(内的妥当性・弁別生)を
満たさないといけません。もちろん、全ては作題者におまかせ
なので、好きに作ればよいのですが、それだけに私の見識と
技量が試される仕事でありました。
 なので、いまでも私は、他人が作った活用型の問題を見る
のが好きです。上の条件に照らして、私は全国学力学習状況
調査の問題は、じゅうぶんに優れていると見ています。よい
問題というのは、「こういうことを考えてほしい」という、
作った人のメッセージを感じるのです。

 いま、日本中の多くの学校・教育委員会で、PISA型とか
活用型の学力というものが重視され、そのような授業を
行おうと努力がなされています。しかし、なかなか実を結び
にくい状況もまた事実であろうと思います。それはなぜか。
活用型の学力のイメージが個々の授業者に明らかになって
いないことが、その理由のひとつだろうと私は思っています。
 もちろん、活用型の学力という概念に、完璧な定義や
唯一の見解はなくてとうぜんです。でも、授業者はある程度の
自分なりのイメージを持っていないと、授業そのものが設計
できませんし、また実施できません。それでみなさん、
授業案を作るのに四苦八苦しているわけですが、いちど
逆方向から考えてみるといいかもしれません。
 つまり、「この単元を終えたときに、どのような問題が
解けたら『活用型の学力が身に付いた』と言えるのか」と、
単元の確認テストを先に考えるのです。そこから逆算して、
「では、この時間にはこういう学習を、この時間には何を」
というふうにゴールから遡って授業を設計してみようと
いうことです。
 テスト問題を作ると、いかに自分があいまいにしか
活用型の学力を捉えていなかったかがわかると思います。
かつては、授業案を作らせると教師の力量が分かると言われ
ていましたが、現代は、テストを作らせると力量が分かる、
そういう時代なのかなと思います。

 さて、最後に一つ宣伝です。先週の5月27日発行の
「日本教育新聞」で、私のインタビューが掲載されました。
協同学習の杉江修治先生、「学び合い」の西川純先生と
並んで、村瀬の考える学びの授業、学びの学校について
ということでした。杉江先生、西川先生と並べると、私の
軽量級が目立ってしまうのですが、ともあれ、三つの視点が
いちどに俯瞰できる貴重な特集になっております。発行され
てすぐに宣伝できればよかったのですが、きっと学校や
教育委員会ではとってあるところも多いでしょう。もし、
機会がございましたら、どうぞよろしくお願いします。

村瀬公胤
一般社団法人麻布教育研究所 所長
名護市教育委員会 学校教育特任アドバイザー