「麻の葉」第8号
2013/01/04 (Fri) 17:59
麻布教育研究所通信「麻の葉」第8号
明けましておめでとうございます。
新しい年を迎えて、みなさまのますますのご発展を祈念して
おります。
麻布教育研究所も、これまで村瀬個人の自営業でしたが、
今年中の早い時期に、一般社団法人になることを目標にして
おります。法人化の第一の要因は、いくつかの企画を含めて
仕事の幅が広がったことです。また、それに合わせて仲間が
増えてきたことも、もう一つの要因です。
すでにこれまでも、麻布教育研究所にご支援ご協力いただいた
方々はたくさんいらっしゃいますし、これからも多くの方々に
お世話になることと思います。ひとまず法人化自体は小さな
メンバーで行いますが、徐々にみなさまとの関わり方も含めて
組織も拡充していければと思います。ともあれ、法人設立が
実現してからのお話になります。
さて、昨年11月に参りました名護市での講演記録がまとめられ
ました。こちらのサイトでリンクされたpdfでご覧いただけます。
http://www.city.nago.okinawa.jp/8/7745.html
たぶん、私の講演記録が全文アップされたのは、これが初めて
ではないかと思います。
沖縄県また名護市に即した文脈の中ですが、学力についての
私のいまのスタンスがよく出ていると思います。これだけの
長文を記録・アップしてくださった名護市教育委員会様に
感謝申し上げます。
ちなみに、講演内の「大学入試ではクリティカルシンキングを
問いなさい」という「おふれ」とは、こちらです。
平成24年第5回国家戦略会議(6月4日)
文部科学大臣(平野 博文)説明資料
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive05_11.html
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120604/shiryo1.pdf
スライドのほうで2枚目になりますね。
まだ法令上の何ものでもない、今後の検討資料ですので、抽象的に
「おふれ」としておきましたが、要はこの方向でいきましょう
ということです。
なお、この政策方針には背景があります。
PISAで有名になったOECDの次の調査、AHELOです。
http://www.oecd.org/education/highereducationandadultlearning/testingstudentanduniversityperformancegloballyoecdsahelo.htm
これは、大学版のPISAだという人もいるように、大学での
学力がついているかを調べるものです。
Assessment of Higher Education Learning Outcomes
(高等教育における学習成果の評価)
2008年から2010年まで、最初の実施可能性のための調査があり
まして、今年はその調査の最終報告が出る年です。もちろん、
その後、実施に移るのだろうと思います。
調査する「科目」は大きく2つ、Generic skillsとDiscipline-specific skills です。
Generic skills(一般能力):
クリティカルシンキング、分析的推論、問題解決、文章コミュニケーション
Discipline-specific skills(特定領域能力):
経済学、工学
このほか、PISAや文科省の全国調査のように、学習状況や学習環境を問う
質問紙もあるようです。
PISAでは、上がったの下がったのと言いながらも、まあそれでも日本は
上位のほうでしょう。しかし、このAHELOでは、かなり結果が心配な
気がします。文科省もとうぜんその危機感があっての政策立案だろうと
思います。
もうひとつついでに言うと、大人の学力調査もあります。なぜかあまり
知られていませんが。
国際成人力調査
PIAAC:Programme for the International Assessment of Adult Competencies
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/1287165.htm
http://www.nier.go.jp/04_kenkyu_annai/div03-shogai-piaac-pamph.html
去年調査が終わりまして、今年、結果が公表される予定です。
これもかなり心配ですね。
これまでもよく言われてきたことですが、大人の能力のひとつの
目安である、日本の「一人あたりGDP」というのは、必ずしも高く
ありません。つまり、日本の大人の生産性というのは先進国中で、
そんなに高くはないのです。もちろん統計上の様々な制約があり
ますから、単純には比較できませんが。
上記のようないくつかの調査が、どのような結果を報告するのか、
たのしみでもあり、こわくもあります。
私は以前から、子どもの学力を云々する大人のほうの学力について、
なぜ議論がないのかと思っておりました。でも、どうやら今年は
大人の学力について多いに議論が出る年になりそうです。
最後に、前回のメルマガでご紹介した、東南アジアスタディツアー
についてです。多くの方からお問い合わせ、ご希望を伺いました。
現時点ではまだ詳細がつめられていないのですが、夏休み、8月
ごろのほうが適当ではないかという方向になっております。
またこちらでご報告いたします。
村瀬公胤
麻布教育研究所
明けましておめでとうございます。
新しい年を迎えて、みなさまのますますのご発展を祈念して
おります。
麻布教育研究所も、これまで村瀬個人の自営業でしたが、
今年中の早い時期に、一般社団法人になることを目標にして
おります。法人化の第一の要因は、いくつかの企画を含めて
仕事の幅が広がったことです。また、それに合わせて仲間が
増えてきたことも、もう一つの要因です。
すでにこれまでも、麻布教育研究所にご支援ご協力いただいた
方々はたくさんいらっしゃいますし、これからも多くの方々に
お世話になることと思います。ひとまず法人化自体は小さな
メンバーで行いますが、徐々にみなさまとの関わり方も含めて
組織も拡充していければと思います。ともあれ、法人設立が
実現してからのお話になります。
さて、昨年11月に参りました名護市での講演記録がまとめられ
ました。こちらのサイトでリンクされたpdfでご覧いただけます。
http://www.city.nago.okinawa.jp/8/7745.html
たぶん、私の講演記録が全文アップされたのは、これが初めて
ではないかと思います。
沖縄県また名護市に即した文脈の中ですが、学力についての
私のいまのスタンスがよく出ていると思います。これだけの
長文を記録・アップしてくださった名護市教育委員会様に
感謝申し上げます。
ちなみに、講演内の「大学入試ではクリティカルシンキングを
問いなさい」という「おふれ」とは、こちらです。
平成24年第5回国家戦略会議(6月4日)
文部科学大臣(平野 博文)説明資料
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive05_11.html
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120604/shiryo1.pdf
スライドのほうで2枚目になりますね。
まだ法令上の何ものでもない、今後の検討資料ですので、抽象的に
「おふれ」としておきましたが、要はこの方向でいきましょう
ということです。
なお、この政策方針には背景があります。
PISAで有名になったOECDの次の調査、AHELOです。
http://www.oecd.org/education/highereducationandadultlearning/testingstudentanduniversityperformancegloballyoecdsahelo.htm
これは、大学版のPISAだという人もいるように、大学での
学力がついているかを調べるものです。
Assessment of Higher Education Learning Outcomes
(高等教育における学習成果の評価)
2008年から2010年まで、最初の実施可能性のための調査があり
まして、今年はその調査の最終報告が出る年です。もちろん、
その後、実施に移るのだろうと思います。
調査する「科目」は大きく2つ、Generic skillsとDiscipline-specific skills です。
Generic skills(一般能力):
クリティカルシンキング、分析的推論、問題解決、文章コミュニケーション
Discipline-specific skills(特定領域能力):
経済学、工学
このほか、PISAや文科省の全国調査のように、学習状況や学習環境を問う
質問紙もあるようです。
PISAでは、上がったの下がったのと言いながらも、まあそれでも日本は
上位のほうでしょう。しかし、このAHELOでは、かなり結果が心配な
気がします。文科省もとうぜんその危機感があっての政策立案だろうと
思います。
もうひとつついでに言うと、大人の学力調査もあります。なぜかあまり
知られていませんが。
国際成人力調査
PIAAC:Programme for the International Assessment of Adult Competencies
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/1287165.htm
http://www.nier.go.jp/04_kenkyu_annai/div03-shogai-piaac-pamph.html
去年調査が終わりまして、今年、結果が公表される予定です。
これもかなり心配ですね。
これまでもよく言われてきたことですが、大人の能力のひとつの
目安である、日本の「一人あたりGDP」というのは、必ずしも高く
ありません。つまり、日本の大人の生産性というのは先進国中で、
そんなに高くはないのです。もちろん統計上の様々な制約があり
ますから、単純には比較できませんが。
上記のようないくつかの調査が、どのような結果を報告するのか、
たのしみでもあり、こわくもあります。
私は以前から、子どもの学力を云々する大人のほうの学力について、
なぜ議論がないのかと思っておりました。でも、どうやら今年は
大人の学力について多いに議論が出る年になりそうです。
最後に、前回のメルマガでご紹介した、東南アジアスタディツアー
についてです。多くの方からお問い合わせ、ご希望を伺いました。
現時点ではまだ詳細がつめられていないのですが、夏休み、8月
ごろのほうが適当ではないかという方向になっております。
またこちらでご報告いたします。
村瀬公胤
麻布教育研究所