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「麻の葉」第5号

2012/09/09 (Sun) 15:16
麻布教育研究所通信「麻の葉」第5号

 今年の夏休みはたいへんに忙しい夏休みでした。ここ20年で最も忙しかった
夏休みかもしれません。毎日のように研修や講演が続いていて、あちこち飛び
回る日々でした。

 7月末から8月上旬には、2回に分けて保育士の専門性向上に関する研修を
実験的に試みました。これは、保育園を経営する株式会社の研修指導担当の
方とのコラボで、以前からやってみたかったことが実現したものです。
実践記録のビデオを共同で参観し、事例解釈を相互に交流することによって、
相対的で複眼的な思考をする、つまりクリティカルに実践を把握することを
目指しました。この研修事例の紹介と分析については、11月に琉球大学で
行われる教育心理学会の自主シンポジウムで報告する予定です。

 8月中旬には、シンガポールで国立教育院(NIE)のEisuke Saitoさんと
3つの中学校を訪問し、授業研究会を持ちました。その中で特に要望があった
ので、ICTをどのように授業で活用するのかという主題で講演も行いました。
そこでは、ICTによって学習の質的変容を促進する使い方について、
タブレット端末に魅力があることを述べました。

 その直後の8月19日に参加した「川崎学びの会」で見せていただいた
中学校数学の事例も、タブレット端末の良さがとてもよく発揮されており、
上記の仕事で考えた自分の構想を確かにすることができました。
しかも川崎の事例では、紙&ハサミというアナログとの混合という興味深い
工夫がなされており、今後のICTを利用した実践についてよい示唆を
いただくことができました。

 8月の後半は、また国内の仕事に戻りました。まず沖縄訪問です。
名護市と糸満市の教育委員会さんからご招待を受けて、講演をしてまいり
ました。名護市では「学級経営研修」ということで、ケアリングを主題に
お話しし、糸満市では学力向上をテーマに、いま求められている授業デザインの
変革とはどのようなものなのか、それが結果としてどのように学力を向上させる
のかについてお話ししました。とくに「全国一斉学力調査」の具体的なデータに
基づいて、沖縄県の根本的な問題について一緒に考えていただきました。
その上で、私は“大風呂敷”が好きなものですから、「全国平均に追いつくという
発想はもうやめにしましょう。沖縄はアジアのハブ地域として、グローバル
スタンダードの学力を目指しましょう。それで結果的に全国平均は越えていた、
というのが理想的ではないでしょうか」と提案してみました。

 教育を勝ち負けで考えるのは私の好むところではないのですが、でも
なにしろ私、もとが体育会系の主将なので、ついこうした作戦案を考えるのが
楽しくなってしまうのです。そして、作戦は大胆なほど効果があるとも思って
います。戦略レベルの思考では、細かな改善を考えるよりも改革的理念を示す
方が効果的です。一方、戦術レベルの思考では、目的地にまっすぐに進むよりも
急がば回れの方針を採るのが私の傾向です。

 ところで、講演の翌日は、市教委さんのご厚意で糸満市の史跡をご紹介
いただくとともに、初任研にも参加させていただきました。なんと糸満市の
文化を知るという講習で、サバニという沖縄独特の漁船に乗って、じっさいに
漕ぐ体験をさせていただいたのです。この道々で、市教委の若手職員さんたちと
お話しする機会があったのもうれしかったです。

 ちょっと面白い話として、本土にはない沖縄の文化のことも話題に上り
ました。たとえば沖縄では、姓が同じ人が多いので、名前で呼び合います。
学校でも同僚間で、理恵先生とか武史先生などのように呼び合っています。
あと、私が「エスカレーターに乗るとき、関東では左にたち、関西では右に
たちますが、沖縄ではどちらに立ちますか」とお聞きしたら、「うーん、
どちらにも寄らないで両方に並んで立っているでしょう(笑)」とおっしゃって
いました。なんかいいですよね。そういう沖縄のよさが生きる形で学力を
伸ばしたいと思いますし、そうでなければ伸びないと私は思うのです。

 また、これらと前後して保育士さんを対象とした講習を二回、つぎに
免許更新講習でも一コマを担当させていただきました。どちらの講習でも、
先生方の「変わらなくちゃ」という熱い想いを感じました。

 このように各地で多くのことを学ばせていただいた一ヶ月あまりだっ
たのですが、それと並行して、麻布教育研究所のサイトを少し手入れ
しました。いくつか内容が増えておりますので、ご高覧いただければ
幸いです。

 まず、各地の研修資料をもとに二つのパワーポイント資料を追加しま
した。一つは、よく質問される「技能教科の協同的学び」について、
つぎに広島学びの会や八千代学びの会などの講演をもとに「真正の学び」
についてまとめました。

そのほかにも、このメルマガのバックナンバーが読めるようになったほか、
業務内容についても少々の追記をしました。

 さて、9月に入りまして、またインドネシアに参っております。
じつは佐藤学先生の初めてのインドネシア訪問が実現したのです。
佐藤学先生には、ジャカルタで一般教員向けの講演を一回、西ジャワ州
スメダン県の中学校で授業参観を一回、バンドゥンのインドネシア教育大学で
大学教員と学生向けの講演を一回していただきました。いずれも熱いお話を
直に聞くことができて、聴衆はみな知的な興奮と感動でいっぱいになりました。

このご訪問は、こちらのプロジェクトチームとしても悲願でしたし、
インドネシアの関係者にとってもまさに夢の実現でした。
また一つ、歴史が動いたように思います。

あと5日間、インドネシアでの仕事を終えたら、帰国します。

村瀬公胤
麻布教育研究所 http://azabu-edu.net/