東京ビエンナーレジャーナル VOL.01
見なれぬ景色へ
2021.03.16
TOKYO BIENNALE 2020/2021

東京ビエンナーレを応援して頂いている皆様へ
 
2021年7月、いよいよ東京ビエンナーレ2020/2021「見なれぬ景色へ」を開催します。
私たちがどのような思いでこの国際芸術祭を準備し、運営しようとしているのか、実際に関わっているスタッフがリポーターとなって、隔週でジャーナルをお届けします。
内容は、アーティスト、ボランティアとのアートプロジェクト、会場、運営、広報、資金調達についてのことなどなど。
どれもが国際芸術祭に欠かすことのできない仕事です。一人一人が想いを込めて関わるスタッフからの現場リポートを是非ご一読下さい。続けて読んでいただくことで東京ビエンナーレをより楽しんで、より深く知っていただけると思います。
第1回の東京ビエンナーレジャーナルは、クリエイティブ・ディレクターの佐藤直樹さんからのリポートです。

東京ビエンナーレ事務局

〈場所〉そのものから発せられるメッセージ

こんにちは。東京ビエンナーレ2020/2021のクリエイティブディレクターを仰せつかり、アーティストとしても参加させていただくことになった佐藤直樹と申します。行政主導型ではなく、完全なる民営型の芸術祭として、2018年に市民委員会を発足させ準備してきた東京ビエンナーレですが、このテキストと前後して、開催宣言にあたるプレスリリースを公表します。そこでは「なぜ今」という問いに対し「今だからこそ」と回答しています。
10年前の出来事があまりに大きかったのでつい忘れそうになるのですが、それ以前からの様々な規制緩和の流れもあって、ここ数十年の東京は大きく、また急激に、姿を変えてきました。しかし、毛細血管のように隅々まで伸びた路地裏を歩けば、まだまだ古くからの痕跡と出会うことができます。ゲニウス・ロキという言葉がありますが、聖なる場所性とでも訳せばいいのか、いかにピカピカのビル群が土地を覆えども、それぞれの〈場所〉には感知される存在の気配というものがあります。東京ビエンナーレはそんな〈場所〉と呼応し合うための装置になるでしょう。
アートやデザインは、自己を表現するようなものであるよりは、何かに憑依され伝達することにこそ役割があると言えないでしょうか。多くの人がそれぞれの孤独の中でコロナ禍と格闘しなければならなくなっているこの時に、人が集ってきた〈場所〉そのものから発せられるメッセージを探り、そこからさらに互いに伝達し合うべきものを見つけ出す。今はその絶好の機会ではないかとも考えているのです
そんな中、ソーシャルプロジェクトの一つとして、大原大次郎、セキユリヲ、田中義久、原田祐馬の4名を迎えた デザインプロジェクトを立ち上げました。アイデア交換のためのディスカッションから展示やイベントのアーカイブに至るまで、開示的にデザインを進めていきますので、お楽しみにお待ちください。
佐藤直樹
東京ビエンナーレ2020/2021 クリエイティブディレクター、アートディレクター、デザイナー、画家
Photo by Masanori Ikeda


CURRENT & UPCOMING INFORMATION


2021年4月24日(土)
リー・智子
「玉川上水46億年を歩く」 羽村取水堰から皇居までの46kmを歩く。』イベント開催

このプロジェクトは、玉川上水の羽村取水堰から皇居までの46kmを地球の歴史46億年とし、玉川上水にかかる橋を億年単位のメモリに見立て、歩くことで地球史を体感してみようとする試みです。地球は驚くほどの変化を経て今に至っています。その脈々と続く変化や出来事を辿るために、地球史マップにまとめましたので、マップを手掛かりに時間の旅に出かけてみましょう。自然豊かな羽村からディープ玉川上水を経て、高速道路の下になる都会までを1日で体験します。もうひとつ、この世界で二足歩行という能力を与えられた唯ひとつの種である私たちが、シンプルに歩くことの楽しみを再発見するきっかけにもなるかもしれません!
詳しくはこちら 

Photo: リー智子 《玉川上水46億年を歩く》 玉川上水の様子 Photo by 加藤嘉六

RECOMEND INFORMATION
東京ビエンナーレでは、公式WebサイトやSNSの他にも様々な情報を発信しています。

TOKYO BIENNALE note

東京ビエンナーレ2020/2021の公式noteです。参加アーティストやディレクター、市民委員会の方々等のインタビューや対談、寄稿記事、また作品の進捗などをご紹介いたします。

リレーションズ:批評とメディアの実践のプロジェクト
東京ビエンナーレのプロジェクトの一つとして「リレーションズ:批評とメディアの実践のプロジェクト」を立ち上げます。このプロジェクトは、主としてウェブやソーシャルメディアを中心にデジタル化とグローバル化の時代の批評とメディアのあり方を考えると同時にその実践を行うことを目指します。

TOKYO BIENNALE note
TALK: 立花文穂×山縣良和×青木彬
東京ビエンナーレの参加作家3名に話を伺うTOKYO BIENNALE TALKシリーズ。第三弾は、アーティストの立花文穂さん、ファッションデザイナー・作家・教育者の山縣良和さん、インディペンデントキュレーターの青木彬さんに登場いただいた。立花さんは文字や紙、印刷、本をテーマにした作品制作と並行して長年美大で教鞭を執っており、山縣さんはファッションやアート活動をしながら「coconogacco」という学舎を主宰し教育活動に励む。そして青木さんは東京ビエンナーレではソーシャルダイブのアシスタントディレクターとして参加いただいているが、各地でアーティストとプロジェクトを興し、これまでの“アート”という概念に縛られず活動を行っている。50代、40代、30代、それぞれの世代でアートに関わり続ける3名がアート、教育、東京などを語った。
Photo: 山縣良知 庭園美術館「装飾は流転する」展示写真

TOKYO BIENNALE note
INTERVIEW: ペドロ・カルネイロ・シルヴァ+アーダラン・アラム
街に置いてある椅子に、知らない人と向かい合わせで座る。そこにあるヘッドホンをかけると、ミュージシャンが即興で演奏を始める。ペドロ・カルネイロ・シルヴァ+アーダラン・アラムの「フリーシート」というプロジェクトだ。いつ、どこで演奏が行われるかということは告知しない。彼らが出没する場所に偶然居合わせ、そこに参加してみようと思った人だけが体験できる作品である。見知らぬ人と一緒に世界で一つ、一回しかない音楽を共有するのはどういう気分なのだろう、その時、東京のまちはどう見えるのだろうか。作曲家でありミュージシャンのペドロ・カルネイロ・シルヴァと映像作家のアーダラン・アラムに話を聞いた。
Photo: ペドロ・カルネイロ・シルヴァ+アーダラン・アラム Free Seat - Distance _ Ardalan Aram

RELATIONS
アートと環境――コーカサス・ロシア・南極・日本(前編)
鴻野わか菜
様々な言語において「環境(英:environment, 仏:environnement、露:среда)」という言葉の意味が多岐に渡り、生物学的、身体的、人類学的、政治的な多様な文脈で使われ、風土、文化、自然、伝統、習慣、生活など人間を取り囲むものすべてを表しうることを考えれば、「アートと環境とは何か」という問いは、すなわち、各アーティストが自分とのかかわりの中で世界をどのようなものとして捉え、日々、何に対峙し、何を重視しているかという、作家の思想、世界観そのものを問うことである。また、「アートと環境」という命題は、「芸術と社会」、「芸術と世界」、「人間と自然」という言葉で言い換えることもできる。本稿では、ロシアのアーティスト達を事例に、「アートと環境」という問題を作家達がどのように捉えてきたかを具体的に見ていくことで、この問題の広がりを照射する。

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「一般社団法人東京ビエンナーレ」では、東京ビエンナーレの運営・実施を支える「賛助会員」を募集いたします。市民を主体に東京で立ち上がる、新たな動きにご賛同頂ける個人・法人の皆様のご参加を心からお待ちしております。様々な形で東京ビエンナーレを知りながら、応援いただければ幸いです。

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東京ビエンナーレ2020/2021
見なれぬ景色へ ―純粋×切実×逸脱―

会期:
2021年7月10日(土)~9月5日(日)
※会期は変更になる場合があります。

一般社団法人東京ビエンナーレ