東京ビエンナーレジャーナル VOL.12
見なれぬ景色へ
2022.5.16
TOKYO BIENNALE

2021年12月実施「ボランティアスタッフ・アルバイトスタッフお疲れ様会」にて撮影
東京ビエンナーレ2020/2021、現場から。
 
東京ビエンナーレ2020/2021で会場運営マネージャーを担当しておりました佐藤華林です。
 
昨年の夏に開催となった、第一回東京ビエンナーレ。
まだ誰も見たことのない一つの大きな芸術祭を運営していくということは、私の30年ほどの人生においてもこれまでにない期待感と、そして同時にプレッシャーを感じた経験でした。
 
東京ビエンナーレ2020/2021は60ものプロジェクトがあり、千代田区、中央区、文京区、台東区を中心としたエリアで行われました。その規模を、200名以上のボランティアスタッフ、約50名のアルバイトスタッフとともに運営しました。会場によっては屋外や、他の会場から離れた場所を1人で担当するポジションなどがあり、また夏の開催であったため熱中症対策、感染症対策と、幾重にも安全に留意する必要がありました。
 
そうした状況もあって、私は毎日気を張り詰めていましたが、ボランティアスタッフ、アルバイトスタッフは私の想像をはるかに超えて本芸術祭に積極的に関わってくれ、大いに助けられました。
仕事終わりに駆け付けてくれたり、猛暑の中備品を会場間運んでくれたりと感謝は尽きませんが、特に印象的だったことは、全会場に1冊ずつ置いていた引継ぎノートです。
翌日以降のスタッフに向けて、「こうした方が来場者にわかりやすいと思う」「地域の方が応援にきてくれた、明日も頑張ってください!」などと記載されており、自発的に共有や創意工夫をしてくれ、作品を守ろう、芸術祭を成功させようと努めてくれていたのが伝わり、嬉しく思いました。
そうしてあがった声を反映させるなどして、徐々にアップデートされる一日一日が東京ビエンナーレの歴史をつくりあげている感覚がありました。
 
会期後、ボランティアスタッフ、アルバイトスタッフと話す機会がありました。本芸術祭に参加したことがきっかけで何かを創作したり、発信するようになったというスタッフも少なくないようです。
私にとっても東京ビエンナーレ2020/2021は特別な出来事でした。それまでは自分一人で作品に対峙することがほとんどでしたが、スタッフや来場者の声をきっかけにもう一度別の視点でその作品をみる、そして考える。その日々が私のアンテナの可動域を大きく広げたように思います。作品や街をみて感じること、その視点。会期後もその感覚は形を変えながら広がり続けている気がしています。
 
東京ビエンナーレ2020/2021は年齢や職業を問わず、多くの人の手によってつくられた芸術祭でした。
次回以降、制作段階からボランティアスタッフとアーティストが、地域の人たち、企業の方々と一緒になってつくりあげていくことになると聞いています。
東京ビエンナーレはだれにでもひらかれています。その波に乗りさえすればだれでも、まだ見たことのない何かに出会えると、私は信じています。
佐藤 華林
東京ビエンナーレ2020/2021 会場運営マネージャー

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